特許調査の際に廃止されたFI分類や移行先のFI分類を探し出す方法

特許調査の際に、パテントマップガイダンス(PMGS)で目的のFI分類が見つからなくて困ったことはありませんか?または、廃止されたFI分類の移行先が分からなくて困ることはありませんか? この記事では廃止されたFI分類の意味・定義を確認する方法と、新しく移行されたFI分類を簡単に探す方法についてご紹介いたします。

目次

特許公報に記載されたFI分類の定義がPMGSで見つからず、困ったことはありませんか?

特許無効資料調査の手順としては、①無効化対象特許の査読を通して発明を理解する。②無効資料を探し出すために検索式を設計し、調査母集団を作成する。③・・・という手順で進めるのが一般的です。

ここで検索式を設計する際に、無効化対象の特許に付与されている特許分類は大変重要な手がかりとなります。国内特許の場合はFI分類が付与されていますので、パテントマップガイダンス(以下PMGS)で、そのFI分類の意味・定義を確認したうえで無効資料調査の検索に使えるか否かを評価します。

しかし、 困ったことに無効化対象の特許公報に記載されているFI分類をPMGSの検索窓に入力して検索しても、ヒットしない場合がしばしばあります。原因の多くは、そのFI分類が廃止されて別のFI分類に移行されているためです。

このように公報に記載されているFI分類の意味・定義が確認できないと、その付与されたFI分類を無効資料調査のための検索式に採用することが躊躇されますし、なによりも、移行先の新しいFI分類を見つけて検索式を設計しないと検索漏れが生ずるおそれが大きくなります。

このように、FI分類の廃止によって移行先の新しいFI分類が分からないと、大変困ったことになります。この問題を簡単に解決する方法がありますので、次に紹介いたします。

特許のFI分類の廃止や移行先をPMGSで簡単に確認する方法

FI分類の廃止と移行先は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat) のパテントマップガイダンス(PMGS)で確認することができます。実際の例を挙げて、その確認方法をご紹介いたします。

例として、無効化対象の特許公報にFI分類 G06F17/27,695 という分類が付与されていたと仮定してご説明します。PMGSのページでFI/ファセット のラジオボタンを選んで、検索窓に「G06F17/27,695」と入力して「照会」ボタンをクリックします。

そうすると、「検索結果は0件でした。検索条件を変更して、再度検索を行ってください。」と残念な結果が表示されます。これでは、このFI分類の意味・定義すら知ることができません(下図の通り)。

念のためにG06F17/27,695の上位階層の分類 G06F17/00について上記と同様の方法で調べてみます。すると、下図のようにG06F17/00以降の分類がリストアップされますが、 下図の通り、あってしかるべき位置にG06F17/27,695 が抜けていることが分かります。

どうやら、G06F17/27,695 は廃止されているようです。なお、この作業はFI分類が廃止されていることを確認する説明のために行っているものです。したがって、実務では、この手続自体は省略してもらって大丈夫です。

次に説明することが、FI分類の移行先を確認する方法で重要な部分です。

G06F17/00のさらに上位階層のG06Fを見てみると下図のように「FI改正情報」というアンカーが付された表示があります。これをクリックしてみます。

「FI改正情報」をクリックすると、下図のように「G06FのFI改正情報」の一覧がポップアップ表示されます。これをG06F17/27,695が出るまでスクロールして探しても良いのですが、面倒なので「Ctrl+F」を使って検索します。

ポップアップされたウィンドウ上にカーソルがある状態で「Ctrl+F」を押すと、下図のような検索窓が表示されます。ここに「G06F 17/27,695」と入力します。

ここで注意したいのは、G06Fと17の間に半角スペースを入れることです。また、いくつかヒットする場合がありますので、「∧」「∨」を押して戻し/送りします。

「G06F17/27,695」を検索すると、下図のように、意味・定義は「・・・シソーラス;同義語」で、2020年3月に廃止され、新しい分類「G06F40/247」に移行されたことが分かります(下図)。

このように、PMGSで目的のFIの定義(意味)と新たな移行先を簡単に確認することができます。移行先のFI分類が分かれば、それ(この場合は、G06F40/247)を使って検索式を作ることができます。

次に、参考までにFI分類の移行先を確認するための、他の方法についてもご紹介します。

特許FI分類の移行先、他の確認方法

以上説明した方法以外に、FI分類の移行先を確認する、他の方法がありますので、ご紹介します。

下図のように、PMGSのトップページに「・改廃情報に関しては、「FI改正情報」・・・」とアンカー付きで表示されています。そこで、「FI改正情報」をクリックします。

「FI改正情報」をクリック すると、下図のように「FIの追加、廃止、更新」に関する多数のリストが表示されます。各々の資料はダウンロードすれば見ることができるのですが、問題のG06F17/27,695が、何年の何月に廃止され移行されたのか分かりませんから、ここから目的の情報を探し出すのは大変な手間がかかりそうです。

もしFIの移行先を探す業務が頻繁にあるのであれば、あらかじめ全部をダウンロードして整理しておくと、簡便に検索出来て便利かもしれません。


当ブログでは、特許調査に関わることを中心に、読者のためになる情報発信に努めています。是非、また、当ブログを読んでいただきますよう、よろしくお願いします。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です