裏剱 仙人池ヒュッテ~阿曽原温泉小屋~欅平

仙人池に映る逆さ剱岳のモルゲンロート

 9月の3連休を利用して北アルプスの北部、裏剱とよばれる山域に行ってきました。今回の登山は、金曜日に夜行バスで室堂に移動し、土曜日から火曜日までの4日間で、欅平まで縦走する密度の濃い山行でした。

 前回のブログでは室堂から仙人池ヒュッテまでの山行記を掲載しました。今回は、仙人池ヒュッテから阿曽原温泉小屋を経て水平歩道を通って欅平に至る山行についての報告です。

第3日目 仙人池ヒュッテから仙人ダムを経て阿曽原温泉小屋まで

 3日目の朝も快晴でした。朝5時からの朝食を済ませて仙人池に移動しました。池の周りにはすでに十数人のカメラマンがスタンバイしていました。仙人池に映る裏剱のモルゲンロートを待ちました。日の出時間になり徐々に山肌が赤色に染まっていきます。今までに経験した中で最高に感激したモルゲンロートでした。

 出発前に小屋の方から、「今日は一番危ないところ、仙人温泉小屋までは滑落が多いので、ロープや鎖を必ず掴んで注意して!」と声掛けがありました。ヘルメットにヘッドランプを装着して出発。急降下する沢沿いの道を注意して降りていきました。しばらく行くと前方にモクモクと上がる湯気が見えました。仙人温泉のようです。仙人温泉小屋は取り壊されており営業はしていませんでした。

 仙人温泉小屋から雲切新道を進みます。梯子とロープが多い登山道を慎重に降ります。しばらく行くと対岸の山肌にトンネルのような人工物が2つ見えました。後から分かったのですが送電用のトンネルということでした。急な梯子を何度も降りやっと仙人谷ダムに到着。阿曽原温泉小屋まであと少し、とホッとし緊張感が解けました。仙人谷ダムの施設の中は天井灯が点いていてヘッドランプは不要でした。途中、湿った熱気があるところを通過し、高熱隧道を感じることができました。

 ここから阿曽原温泉小屋までは登り降りが少ない道かと思いきや、梯子や階段が連続する道を登り降りを繰り返し、小屋に到着したときはヘロヘロでした。この小屋には男女入れ替えの露天風呂があり、我々が到着したときは女性の入浴時間でした。ビールを我慢して男性の入浴時間を待って、歩いて10分ほど下ったところにある露天風呂に向かいました。露天風呂は思ったよりもかなり大きくて、10人くらいは余裕で入れる大きさで、湯温も丁度良くてまったりすることができました。

 夕食後、9時の消灯時間まで有志で酒を飲みましたが、おいしい夕食後でおなかがいっぱいで、酒がすすみませんでした。さあ、明日が最終日!明日もいい天気でありますように、床に就きました。

第4日目 阿曽原温泉小屋から水平歩道を通って欅平まで

 最終日4日目は、阿曽原温泉小屋から難所の水平歩道を通過して欅平に下山するコースです。滑落・転落のおそれがあるためハーネスを付けて、120㎝のスリングをラビットノットにして、その先端に環付きカラビナを2個つけて準備しました。また、ストックは邪魔になるのでしまい込んで両手が使える状態にして、小屋を6時50分に出発しました。

 最終日とはいえ欅平までの歩程は5時間半ほどあり、楽勝とは言えない距離を歩きます。小屋を出てしばらくは登り降りがありますが、ほどなく山肌をトラバースする登山道になり、水平歩道らしくなりました。

 左手側(山側)に番線が張ってあって、それをつかみながら進みます。番線にカラビナを掛けて練習をしながら行きましたが、カラビナを外したり掛けなおしたりと面倒になり、途中からは手で番線を触りながら歩き、ちょっと危ないな!という箇所だけカラビナを通して通過しました。

 折尾谷付近の砂防提内トンネルをくぐり、いよいよ大太鼓に着きました。カラビナで確保しながら下を覗くと高度感が半端なかったです。ここが有名な「大太鼓」と、記念写真を撮ってもらいました。大太鼓を通過すると間もなく長い(150m)トンネルに到着しました。ヘッドランプを点けて進むとトンネル内に水が流れていて、深いところではくるぶしほどの水深がありました。トンネル内の水に備えて靴カバー代わりのレジ袋を用意していたのですが、面倒なので使わずに済ませました。水深が深いと予想される場合はレジ袋を用意していった方が良いかもしれません。

 鉄塔が何か所かあり、ついに水平歩道の終点に着きました。地図では、ここから欅平まで20分の急坂を降れば今回の山行も無事に終了です。ところが、ここにきて本降りの雨になりました。とにかく欅平の駅まで急ごうということで合羽を着ずに降りました。地図には水平歩道の終点から欅平まで20分とあるのですが、なかなか着きません。欅平の駅らしき建物が見えるのですが、なかなか着きません。結局、地図で20分というところが55分もかかりました。

 道を間違えたとも思えず、地図が間違っているのではないかと疑わざるを得ません。欅平駅に余裕で着けると思っていたのですが、到着したのはトロッコ電車の発車時刻の10分前でぎりぎりでした。このトロッコ電車に乗り遅れると予め予約していた新幹線に乗れませんでしたので、冷や冷やものでした。これから同コースを歩かれる方は、水平歩道の終点から欅平駅まで1時間弱かかると見込んでおくといいと思います。

 今回の山旅は、初日(室堂~剣御前小舎)を除いて、毎日がロングコースでとてもタフな山行でした。でも、秘境の景色を見ることができたこと、特に仙人池に映る裏剱のモルゲンロートは心に残る景色でした。小屋のおいしい食事や露天風呂など、うまみがぎゅっと圧縮された山行で、しみじみ来てよかったと思える山旅でした。


ここまで読んでいただき、どうも有難うございました。

是非、また、当ブログを読んでいただきますよう、よろしくお願いします。

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