アフターコロナで在宅勤務/テレワークはどうなるのか
新型コロナウィルス感染拡大防止が契機となって、在宅勤務という働き方が一気に広がりました。業種によると思いますが、在宅勤務を継続されている方も多いのではないでしょうか。猛威を振るったデルタ株に因る第5波でしたが、10月に入って新規感染者数が急速に減少する傾向が続いています。東京の新規感染者数が、まさか2桁まで減少するとは誰が予想していたでしょうか?
しかし、2022年を迎えて状況がまたまた変わってきました。オミクロン株による第6波が始まりました。東京では新規感染確認者数が1日あたり30人以下の日が続いていましたが、1月5日には390人にあっという間に急増しました。これまでにない勢いで感染拡大が始まったようです。
さて、コロナが落ち着いてくると、サラリーマンが気になるのは在宅勤という働き方を今後も継続できるのだろうかということではないでしょうか?電車通勤時の感染リスク回避策として積極的に推し進められてきた在宅勤務ですから、コロナの感染リスクが減少した場合には、企業側としては在宅勤務制度を撤廃して以前通りに出社を前提にした働き方に戻す動きが出て当然だと思われます。
一方で、在宅勤務によって通勤時間という無駄な時間から解放された働き方を経験したサラリーマンからしたら、アフターコロナも在宅勤務を続けて欲しいと思うのが大半の考えではないでしょうか。
そこで、本記事ではアフターコロナで在宅勤務がどうなるのか、考察してみました。
目次
在宅勤務≒テレワークを、政府は働き方改革の切り札として考えている
在宅勤務について政府はどのように考えているのでしょうか。以降、在宅勤務+モバイルワーク+サテライトオフィスをひっくるめてテレワークとして考えます。政府(総務省)は、テレワークは「社会」「企業」「労働者」にとって以下のメリットがあるとまとめています。
社会 | 企業 | 労働者 |
---|---|---|
働き方改革 | 非常時の業務継続(BCP) | 多様な働き方の実現 (例えば 育児・介護・治療との両立 ) |
労働人口の確保 | 人材の確保・離職防止 | 通勤時間の削減 |
生産性の向上 | 業務変革(BPR、DX) | |
地方創生 | オフィスコスト削減 | |
生産性の向上 |
テレワークの意義・効果
テレワークの意義や効果について、政府(総務省)は次のように考えているようです。
◆少子高齢化対策の推進
- 人口構造の急激な変化の中で、個々人の働く意欲に応え、その能力を遺憾なく発揮し活躍できる環境の実現に寄与
- 女性・高齢者・障がい者等の就業機会の拡大
- 「出産・育児・介護」と「仕事」の二者選択を迫る状況を緩和
- 労働力人口の減少のカバーに寄与
◆ワーク・ライフ・バランスの実現
- 家族と過ごす時間、自己啓発などの時間増加
- 家族が安心して子どもを育てられる環境の実現
◆地域活性化の推進
- UJIターン・二地域居住や地域での企業等を通じた地域活性化
◆環境負荷軽減
- 交通代替によるCO2の削減等、地球温暖化防止への寄与
◆有能・多様な人材の確保生産性の向上
- 柔軟な働き方の実現により、有能・多様な人材の確保と流出防止、能力の活用が可能に
◆営業効率の向上・顧客満足度の向上
- 顧客訪問回数や顧客滞在時間の増加
- 迅速、機敏な顧客対応の実現
◆コスト削減
- スペースや紙などオフィスコストの削減と通勤・移動時間や交通費の削減等
◆非常災害時の事業継続
- オフィスの分散化による、災害時等の迅速な対応
- 新型インフルエンザ等への対応
テレワークの意義・効果について、総務省のサイトの「テレワークの意義・効果」に以上のように記されています。
コロナ以前とポストコロナ時代におけるテレワークについて
新型コロナ感染症対策としてテレワークが注目されてきたわけですが、政府はコロナ以前にテレワークにどのように取り組んでいたのでしょうか。調べたところ、コロナ禍以前から働き方改革の切り札としてテレワークを推進していることが分かりました、その時は「介護と就労の両立」や「各国と比較して日本の労働生産性が低く、テレワークで労働生産性を向上させよう」という点が課題だったようです。
総務省の2019年5月の資料『テレワークの最新動向と総務省の政策展開』 に記載されています。
また、アフターコロナ時代にテレワークがどうなるのか?気になるところですが、アフターコロナのリモートワークを考える会議体があることが分かりました。それは、総務省の研究会として 『「ポストコロナ」時代におけるデジタル活用に関する懇談会』 という組織体があることが分かりました。
企業は在宅勤務についてどう考えている?
東京都では新規感染者数が50人以下まで減少している傾向が続いています。テレビなど報道を見ても、減少した原因について納得できる説明ができる人は誰もいないように感じますが、気を抜かないできっちり減少している原因を究明して欲しいものです。
さて、新規感染者が減ってきていることを受けて、企業は在宅勤務についてどのように考えているのでしょうか?今日のYahoo!ニュースで日経新聞の記事が載っていましたので、抜粋して紹介します。
企業 | リモートワークへの取り組み |
アサヒグループホールディングス | 緊急事態宣言解除後は、平時に戻して出社比率を30%~50%程度で運用する |
関西電力 | 出勤率7割削減 ==> 宣言解除後は、在宅勤務の積極的な活用を推進と「7割」の数値を外した |
明治安田生命保険 | 出社率3割に抑制 ==> 宣言解除後は、出社率7割に緩和する |
クボタ | 原則、在宅勤務 ==> 出社率5割以下にする |
メルカリ | 出社に関する画一的な基準は設けない |
オムロン | 宣言解除後も、出社率3割以下となるようにコントロール |
パナソニック | 宣言解除後も、在宅勤務を基本とする |
スズキ | テレワーク併用、緊急事態宣言下と同じ対応を続ける |
関西みらい銀行 | 宣言解除後も、週2日以上のテレワークを維持する |
在宅勤務が無くなることはないでしょう
上記のようにテレワークに対する政府や企業の取り組みを見ている限り、在宅勤務が無くなることはないでしょう。おそらく、週に2~3日が在宅勤務、3~2日が出社という働き方が主流になるのではないかと予想されます。
働く側から見れば、コロナ終息により在宅勤務制度が撤廃されてコロナ前のように毎日出社する働き方に戻ることに、抵抗を示す社員も多いと予想されます。 パーソル総合研究所によれば、在宅勤務実施者のうち継続を希望する人の割合は78.6%(2021年7月)であり、ロバート・ウォルターズの日本の会社員に対する調査では、毎日のオフィス勤務に戻りたい人は5%にとどまったということです。
(引用 日経新聞『出社・在宅せめぎ合い 企業「対面で」社員「家で集中」』 )
一方、経営側から見れば、在宅勤務では生産性が低下するので原則毎日出社の勤務形態に回帰したい、と考えているのでしょう。しかし、人事採用面で見ると、在宅勤務を活用している企業に優秀な人材が集まるのではないでしょうか?また、以前問題となった介護による離職の問題等を考えると、在宅勤務制度を継続したほうが結果的に得なのではないでしょうか。
日経新聞が9月に実施した「社長100人アンケート」で従業員の出社比率をどうするか聞いたところ、回答した企業の6割が「(出社比率を)上げる」としたものの、出社比率を変えず現状を維持するとの回答も4割に上ったということです。
(引用 日経新聞『出社・在宅せめぎ合い 企業「対面で」社員「家で集中」』 )
また、「テレワークの労働管理等に関する実態調査(速報版) 2020年11月16日」という資料が見つかりました。三菱UFJリサーチコンサルティングの資料ですが、大変興味深い内容でしたので、URLを紹介しておきます。資料はこちらです。
以上をまとめると、希望的観測もありますが、週に2~3日が在宅勤務、3~2日が出社という働き方が主流になるのではないかと予想します。在宅勤務制度を継続することによって、生産性を向上させる方策や適切な人事評価方法があとから整備されてくるのではないでしょうか。
ここまで読んでいただき、どうも有難うございました。 是非、また、当ブログを読んでいただきますよう、よろしくお願いします。