EV特許の競争力、トヨタが首位、またしてもテスラにやられるのか

Electriccar

日経新聞に『EV特許の競争力、トヨタ首位・・・』という記事がありました。以前にEVを含む蓄電池の調査を行った経験から、このニュースについてご紹介いたします。

ニュースの概要 EVに関する特許力で日本勢が優位に立っていることが明らかに

ニュースの概要としては、電気自動車(EV)の技術で日本の車業界が優位に立っていることが、特許調査会社パテントリザルト社と日経新聞社との共同調査で判明した。中でも、トヨタがEV特許競争力で第1位であり、上位50社のうち4割が日本企業だったということです。

しかし、EVの販売面では、米国TESLAなど海外勢にたいして出遅れており、日本勢は特許に裏打ちされた技術力でEVの販売につなげて開発投資の原資を確保する好循環を生み出せなければ、いずれ技術面でも逆転されかねない、と記事では論じています。日経新聞社の記事についてはこちらをご覧ください。

EV特許競争力Top50から、上位10社と日本企業を抜粋したものを下表に示します。

ちなみに、特許競争力を測る基準はパテント・リザルト社パテントスコアを基に算出しているものと思われます。パテントスコアを使った分析ツールのBizCruncherはよく使わせていただいておりますが、ほぼ実態を表すものと私は評価しています。

なお、パテントスコアは『出願人の権利化への意欲』『先行技術としての審査官からの認知度』『競合他社からの注目度』を基にスコアリングしたものです。詳しくは、パテントリザルト社のサイトをご覧ください。

トヨタ自動車が保有する特許は、BMS/バッテリマネジメントシステムに関する特許か?

日経新聞の記事によれば、トヨタ自動車の特許の技術分野は『充放電などの電池の制御や、ケーブルをつながず非接触で充電する技術』に関するものだということです。前者はBMS/バッテリマネジメントシステムに関する技術であり、後者は非接触給電に関わる技術であると推測されます。

前者のバッテリマネジメントシステム(以下 BMSと略す)についてご存知でしょうか?以前調査したことがありますので、以下に少し説明したいと思います。

BMSとは、リチウムイオン電池などの充電型のニ次電池の安全制御を行うシステムのことを指しますが、BMSの機能には主に3つの働きがあります。1つ目は『バッテリーの状態を正確に計測/予測する機能』です。BMSにはバッテリーのSOC(充電状態)、SOP(パワー状態)、およびSOH(健全性状態)を正確に計測および予測する働きがあります。

リチウムイオンバッテリーは、その安全性の面から充電量が0%~100%までフルに使えるものではありません。下限と上限に必ずマージンを持たせなければなりません。例えば、充電量の20%~80%の間で使うという具合です。したがって、もしSOC(充電状態)を正確に計測できるのであれば、充電量の10%~90%まで10%づつ範囲を広げて使えるということになり、結果としてはEVの走行距離を延ばすことができる効果が期待できます。

2つ目は『複数のバッテリー間の充電量のバランスを取る機能』です。EVのバッテリーパックは複数のバッテリーで構成されますが、バッテリーパック内のバッテリー間に充電量の差があると、寿命およびバッテリーシステムの利用に悪い影響を及ぼします。

具体的に説明すると、バッテリーパックが10個のバッテリーで構成されていて、各バッテリーは下限20%~上限80%で使われていると仮定します。バッテリーから放電されて充電量が少なくなっていく場合、10個のバッテリーのうちどれか1個のバッテリーが20%になった時点でバッテリーがエンプティ―と認識されます。また、充電する場合には、どれか1個のバッテリーが80%になった時点で満充電と認識されます。10個のバッテリー間で充電量のばらつきがあると、最初に残量20%になったバッテリー、および、最初に80%になったバッテリーに律速され、それ以上放電/充電されなくなります。この問題を最小化するためにバッテリー間のバランスを取ってやる必要があるわけです。

なお、バッテリーのバランスを取る方法には、アクティブバランスとパッシブバランスがあります。アクティブバランスの方が高機能であるというメリットがありますが、反面コスト高になるというデメリットがあります。

3つ目は『バッテリーを保護する機能』です。BMSは、バッテリーパックを過充電、過剰放電、過電流、または過剰な高温や低温による異常から保護してやる必要があります。スマートフォンやノートパソコンのバッテリーやモバイルバッテリーで異常高温・発煙・発火の事故が時々起きていますのでご存知でしょう。車のバッテリーが走行中に発火したら大変ですね。


ここまで読んでいただき、どうも有難うございました。

是非、また、当ブログを読んでいただきますよう、よろしくお願いします。

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