【保存版】合格者がすすめる弁理士試験の実践的勉強方法

弁理士試験 勉強方法 

弁理士を目指しておられる方、勉強方法に悩まれていませんでしょうか? 私は企業の研究開発部門に居ながら平成23年に弁理士試験に最終合格しました。そして現在は、特許調査会社に勤務しております。

本記事は、私の体験を踏まえ、弁理士試験に最終合格するための勉強方法についてご紹介しています。長文ですので、目次から必要なところにジャンプして読んでいただければ幸いです。

目次

弁理士試験の勉強方法・総説

試験に最終合格するまでにおよそ3,000時間の勉強が必要

弁理士資格を取得するのにはどのくらいの時間の勉強が必要なのでしょうか?

一般に言われている勉強の総時間は、約3,000時間といわれています。会社員の場合を想定すると、平日は3時間、土日に8時間勉強すると仮定して試算してみますと、

(平日3時間×5日+土日8時間×2日)× 50週 = 1,550時間/年間 即ち 2年間掛かることになります。

素養があり、かつ、勉強時間が十分に取れる人ならば、1年間で一発合格を狙えるかもしれませんが、それは特殊なケースであり、一般的には2年間~5年間掛かると見たほうが良いでしょう。それだけ難関の試験であると覚悟を決める必要があります。

試験概要を特許庁のホームページで確認しよう

まず、特許庁のホームページで弁理士試験の概要を確認しましょう。試験には、短答式筆記試験、論文式筆記試験(必須科目)、論文式筆記試験(選択科目)、口述試験 の前部で4つの試験があります。

ここで、 論文式筆記試験(選択科目)の受験が必要か否か、大事なことなので確認しましょう。修士・博士の方は選択科目の試験は免除になりますが、その他の方は受験が必要です。選択科目はこちら

令和3年度の試験日程

勉強のスケジュールを立てるために、資格試験の日程を確認しましょう。下記を見ればわかるように、ほぼ1年をかけて行われる試験であり、したがって受験の機会は1年に一回であることが分かります。即ち、もし最初の短答式筆記試験で不合格になると、翌年になるまで再チャレンジの機会がないということです。

下記に令和3年度の試験日程を紹介していますが、新型コロナの影響でしょうか、例年と日程が違っていますので注意しましょう。コロナが収まれば、日程も再び変わると思いますので、勉強の計画を立てる際には注意が必要です。

試験実施スケジュール

  • 短答式筆記試験:令和3年7月中旬~下旬を予定
  • 論文式筆記試験(必須科目):令和3年8月中旬~下旬を予定
  • 論文式筆記試験(選択科目):令和3年9月中旬~下旬予定
  • 口述試験:令和3年12月中旬~下旬を予定

なお、受験願書の交付・請求期間はこちら

勉強に打ち込んでいて受験願書を出し忘れることが無いように、特許庁のホームページで願書の受付期間をチェックしましょう。

2年で最終合格を目指す

上述したように、合格するために必要な勉強の総時間から考えても、2年で合格することを目標に計画しましょう。ちなみに2年で合格できれば非常に優秀です。

まず1年目は短答式筆記試験(以下、短答試験に省略)に合格することを目標に勉強の計画を立てましょう。また、余裕があれば論文式筆記試験(選択科目)(以下、選択科目に省略)の合格も取ってしまいましょう。

ちなみに私の場合は、短答試験終了後に、あえて論文式筆記試験(必須科目)(以下、論文試験に省略)の勉強はせずに、選択科目の勉強に集中した結果、運よく選択科目の試験に合格できました。(選択科目は一度合格すれば、その後試験免除されます)

1年目で論文試験に合格する可能性は、準備不足もあって、合格する可能性は低いのです。したがって1年目は論文試験がどのように行われるのか、受験して感触を掴むに留めましょう。なお論文試験に不合格の場合でも、特実・意匠・商標の科目ごとに「答案の出来」がどの程度だったのか、採点評価を教えてもらえます。

勝負の2年目は、論文試験の対策に集中しましょう。1年目に選択科目に合格していると勉強の計画が楽です。論文試験が、弁理士試験最大の難関です。論文試験の合格者に対して行われる口述試験の対策は、論文試験終了後に始めても間に合いますから、論文試験対策に集中しましょう。

資格受験予備校を利用すべき5つの理由

独学か?受験機関に通うか?迷っている方、ずばり資格受験予備校の活用をお勧めします。

■ 受験予備校を利用すべき5つの理由

  1. 受験までスケジュールを管理してくれる
    • 例えばLECの「短答基礎力完成口座」の場合で言えば、特許・実案科目の「講義」⇒「講義」⇒「講義」⇒「答練」・・・という形で順序良く進んでいきます。予備校の組んだ時間割についていくだけでスケジュールの管理ができます。
  2. 効率よくインプットできて勉強時間が節約できる
    • 講義で使われるテキストは、条文の解説のほかに、関連する過去問や試験に出るポイントが記載されています。受験に必要な知識が選び抜かれているので、効率よくインプットすることができます。
  3. 理解があいまいなところは質問できる
    • 勉強中に生じた疑問点は早期に解決しておきたいものです。講師の時間が許せば、講義後に個別に質問の機会があります(少なくとも、私が受講した頃は質問できました)。
  4. アウトプットの練習になる
    • 短答試験対策の場合は、条文の講義の間に答案練習して理解度を確認することができます。決められた時間内に回答するアウトプットの練習ができます。
    • 論文試験対策の場合は、短答試験対策よりもアウトプットがより重要です。初めて見た問題に対して決められた時間内に書く練習は欠かせません。このアウトプットの練習は独学では、なかなかできないものです。
  5. モチベーションを維持できる
    • 短答試験の答練では点数が明らかになるので、合格レベルに達しているのか、もう少しなのか、ある程度分かるので、勉強する励みになります。
    • 論文試験の答練では、自分の点数が受講者全体のなかで、どの位置にあるのか、合格点に達しているのかがある程度分かるので励みになります。

私が利用した受験予備校

私が利用した受験予備校は以下です。あくまで参考ですので自分なりに調べてご検討ください。

短答試験対策 LEC東京リーガルマインド

論文試験対策 代々木塾 TAC(当時はWセミナー) LEC東京リーガルマインド

口述試験対策 TAC(当時はWセミナー)

短答試験対策の勉強方法

資格受験予備校をフルに利用する

短答試験の勉強は、LEC東京リーガルマインドなどの受験機関を利用します。私自身はLECの講座・答練を利用して勉強しましたが、不満に感じたことは無く利用して良かったと思っています。

また、本番の短答試験でも受験予備校の答練の問題と出題傾向が大きく異なることはありませんでした。とても役立ったと評価しています。

受講する場合は、東京近郊の方はできるだけ生講義をうけましょう。お忙しい方はDVDなどのメディアの活用もあります。目で文字を追うだけでなく、講師の力の入った説明を聞くことが、重要ポイントの理解を深めるうえでとても役に立ちます。

また、講義内容は授業で聞き流すだけではもったいありません。通勤時間などの空き時間を利用して、録音を繰り返し聞いて覚えましょう。現在の受講環境は分かりませんが、私が受講した頃は、授業の録音をカセットテープにダビングできるサービスがありました。

テキストは受験機関の用意したテキストを利用します。過去問集を除いて、それ以外にテキストを用意する必要はありません。手を広げずに一つのテキストを繰り返し読んだほうが実力が付きます。

私が受講した時は「短答アドヴァンステキスト」が優れモノでした。ネットで検索してもヒットしないので、今は出版されてないのかもしれません。

受験機関の短答答練は必ず受けましょう。

上述したテキストでインプットした内容を、市販の過去問集を使ってアウトプットの練習をし、受験予備校の答練で実力を測定します。間違ったところは解説を読んで納得がいくまで復習しましょう。

本番の短答試験の日が近づいたら、できれば他の受験予備校主催の短答模擬試験も受けてみましょう。

青本(工業所有権法逐条解説)の使い方

短答試験対策の段階では、青本を通読する必要はありません。青本は内容が難解なうえ量が多いので、初学者が最初から読み進めるのはお勧めしません。

本番の試験問題で青本に書いてあることから出題されることが多いのは事実ですが、短答試験対策では割り切って受験予備校のテキストを繰り返し読んだ方が点数アップにつながると思います。

青本は一度読んでも十分な理解は難しいです。二度、三度、四度読んで、「あぁ~、なるほど、そういいうことか!」という気づきが得られます。青本は論文試験対策まで楽しみは残しておきましょう。

勉強を続けるうちに、短答答練の問題の正解の解説内容に納得がいかない場合が出てきます。その時に、青本を辞書的に参照するという使い方がよいでしょう。

ついでに、法文集について紹介します。法文集は、PATECH企画の四法対照の法文集がお薦めです。少し大きめで価格も高いですが、特・実・意・商の条文が比較対照できるようにレイアウトされています。

そのため、特許法をしっかり覚えれば、対照される実用新案と意匠法の条文の理解がしやすくなります。また、実用新案法と意匠法特有の条文を覚えるのにも役立ちます。

全科目満遍なく試験勉強をおこなう、配点が低い科目を”捨てる”のは結果的に損をする

短答試験の試験科目と出題数は、特許・実用新案が20問、意匠が10問、商標が10問、条約が10問、著作権・不正競争防止法が10問、の合計60問です。

試験日が近づいて勉強が間に合わなくなると、「(例えば)著作権を捨てる!(=勉強をやめる)」などと腹を括る方が現れますが、決してお薦めしません。出題数が少ない科目は比較的易しいサービス問題が出される可能性があるからです。

科目別難易度では、特許・実用新案が相対的に難しいです。合計点で良い点が取れても、特許・実用新案の点数が低い場合は、勉強が足りてないと反省すべきです。特許・実用新案で安定して得点できるようになりましょう。

短答試験の受験テクニック

受験テクニックといえるか分かりませんが、私の経験から参考になればと、以下に紹介します。

■特許・実用新案=>意匠=>商標=>条約・著作権・不競法 の順に解く

短答試験の問題冊子は、各法律の問題文がランダムな順序に閉じられています。特実20問・意匠10問・商標10問・条約10問・著作権/不競法10問の順番で閉じられているわけではありません。

そのため、1ページ目からめくっていくと、思考が「特許あたま」になったり、「商標あたま」になったり、都度変わることになります。毎ページ、あたまがリセットされるので、問題を解きにくいと言えます。

そこで、ページを飛ばして「特許・実案」の問題だけを最後まで解き、次に最初に戻って「意匠」の問題だけ、「商標」の問題だけを同様の方法で解いていきます。最後に「条約・著作権・不競法」は一緒に解きます。

このようにすると、頭の切り替え頻度が少なくなるので効率よく回答できるという利点があります。反面、タイムマネジメントがやりにくい、マークシートへの転記する際にマーキングする場所を間違える可能性がある、というデメリットがあります。

この方法を試験本番でいきなり試すのはリスクが大きいので、模擬試験等で試してみてから使いましょう。

■出題の狙いを推測して問題文を読む

過去問や答練を積み重ねると、多くの受験生が間違いやすい点、即ち出題されるポイントが見えてきます。簡単な例で言えば、問題文の「特許庁長官」「審判長」「審査官」の主語を入れ替える、などです。問題文を読んで○×を判定するときに、そういう点に着目しながら問題文をチェックしていくと早く解が見つけられます。

選択科目対策の勉強方法

選択科目試験が免除される方以外は受験して合格する必要がある

弁理士試験であまり注目されていませんが、論文試験(選択科目)を受験し、合格する必要があります。但し、以下の条件を有する方は選択科目の試験が免除されます。

  1. 論文式筆記試験選択科目合格者
    • 一度合格すれば、永久に免除されるということです。
  2. 修士・博士・専門職学位に基づく選択科目免除資格認定を受けた方
    • 理系では大学院に進学する方が多くなりましたが、その方々は免除されます。
  3. 特許庁が指定する他の公的資格を有する方
    • 一級建築士、薬剤師、司法書士、行政書士などの資格を有する方々は免除されます。

私の場合は、学卒で免除資格も持っていませんでしたので、論文試験(選択科目)を受験しました。

「試験科目及び出題数」はこちらを参照ください。

ちなみに受験した科目は「理工I(機械・応用力学)」を選択しました。記憶が定かではないのですが、試験当日に問題文の中から「材料力学」の問題と、「熱力学」の問題を選択して回答したと記憶しています。

選択する科目によって難易度が異なるようです。さらに、年度によっても難易度が変わると言われています。したがって、科目の選択は自分の得意とする分野を中心として、加えて、インターネット等で難易度についての情報収集を行って、受験する科目を決めましょう。

選択科目の勉強方法は、市販されている理工学書を使った独学です

勉強を始める前に、過去にどのような問題が出題されていたか、難易度などを確認しましょう。特許庁のホームページに平成14年度以降の「選択科目の問題及び論点」が掲載されています。こちらです。 令和2年度の「選択科目の問題及び論点」は、こちらです。

過去問を研究して出題される問題のレベル(難易度)が確認できたら、教科書として使う専門書を選びます。大学の時の教科書は捨ててしまっている方も多いでしょう。改めて書店で購入する場合は、演習問題が豊富に載っている本が良いでしょう。

その後は、教科書を使ってひたすらインプットと演習問題を解くことに専念します。選択科目の合格ラインは60点ですから、大学の試験勉強と同じです。

選択科目の勉強を始めるタイミングについては、短答試験終了後に直ちに選択科目の受験勉強に集中することをお勧めします。論文の必須科目の受験対策は、短期間ではとても間に合いません。選択科目の受験対策に注力して、1年目に短答試験と選択科目に合格し、翌年の選択科目試験免除を勝ち取りましょう。

論文試験対策の勉強方法

資格受験予備校の答練を活用する

弁理士試験を目指した初学者の頃、代々木塾の論文サブノートを購入した当時のエピソードです。論文サブノートには与えられた問題に対して書かなければならないことが整理されて記載されているのですが、最初にそれを見たときは、気が遠くなるのを覚えました。「こんな風に書けるわけがない!!」と。

私の体験を言いますと、まず最初に代々木塾の論文対策の答練を受けました。答練といっても小問で題意がストレートな入門コースです。

最初はどう書いて良いものやら分からず、解答用紙は余白・余白ばかりでした。この状況は誰もが通らなければならない路です。最初は書けなくて唖然とするのです。それでも負けずに書くことを続けることです。苦しいけれど書き続けることが大事です。

この段階ではとにかく書くことに慣れることです。日常ではペンで手書きすることが少なくなりましたから、なおさら練習が必要です。

小問の答案がある程度書けるようになったら、本番に近い問題にトライしましょう。

本番に近い答練で重要なのは問題文の「題意把握」です。複数の人物(甲・乙・丙・丁・・)が登場し、複数の事象(出願・公表・実施権の許諾・実施・・・etc.・)が問題文で説明されます。

この問題では何が問われているのかを把握して、出題者の意図に添った答案が書けるようになることが必要です。条文に添って回答すること、あるいは、判例にあてはめて回答する事もあります。

受験予備校の答練を受けると、答案を書き終わった後に講師の解説があります。問題を時系列に図形化して整理して解説してくれるので、自分が見落とした論点が分かるなど、得るものがたくさんあります。

受験予備校によっては、「模範答案」を使って説明してくれるところもあります。「模範答案」は、「本」になっているようにきれいに整理された答案ではなく、リアルな臨場感がある答案です。具体的には文章が省力化されているものです。

限られた時間で答案を書くには、「本」に印刷されているような完璧な文章では時間が足りません。必要十分な内容を如何に省力化して表現するか、ということが求められます。そのため生々しい模範答案は非常に役立つわけです。

とにかく論文試験の勉強はアウトプットを多くこなすことが大事で、そのためには受験予備校の答練を受けることを強くお勧めします。

判例の勉強方法

論文試験では、判例を意識した問題が出題される場合があります。

判例を知っているのと知らないのとでは大違いです。判例を知っていれば、判例に沿った流れで回答が書けますが、判例を知らないと、出題者の意図が理解できずに最後まで「???」のままで終わってしまいます。

判例の参考書としては、法学書院・正林先生の「知的財産法判例教室」をお勧めします。別冊ジュリスト「判例百選」にも手を出しましたが、あまり深入りしないほうが良いでしょう。

特に、商標法は判例の勉強が欠かせないので、しっかり準備しておきましょう。

論文試験対策にはカードを利用した勉強方法がおすすめ

問題の題意に対する答案の流れを、カードにまとめて暗記しました。カードといってもB6サイズの大判カードです。

こういう問題が来たら、こういう流れで答案を書く、という論文の流れをカードにまとめました。例えば、他社の特許権を侵害している旨の警告を受けた場合の対処は? 特許登録原簿の確認、特許請求範囲の確認、直接侵害・間接侵害の有無・・・等々です。

今考えるとカードなんて古臭いと思います。今だったら、パワーポイントのようなスライドに集約してタブレットで見れるようにすると良いでしょう。要は、問題を見て、解答を考えて、めくって、正解を確認する、ということを繰り返して覚えることです。

答練は1校に絞る

論文試験対策で失敗から学んだことを紹介します。

私は上に書いたように、最初は代々木塾の答練を受けておりました。成績も受講生の中では上位でした。

ところが、論文試験の合格をより確かなものにしようと、途中から他校(Wセミナー/現TAC)の答練も掛け持ちで受講することにしました。これがいけなかった。

あくまで私の個人的な感覚ですが、受験予備校によって論点の問題文への仕込み方が違うようです。正面から論点を問う問題や、ややひねっている問題、論点を隠している問題、などです。

十分な実力がついていない段階でいろいろな性格の問題に対すると、答案作成のスタイルがあっちに行ったりこっちに来たりで、混乱してしまいます。結果的に2年目の論文試験対策に失敗してしまいました。

自らの経験から、答練では受験予備校は1校に絞ったほうが良いです。ただし本番試験直前の模擬試験では、自信を着けるために他校の模擬試験を受けても良いでしょう。

論文試験の受験テクニック

■ 蛍光マーカーを使って、登場人物(甲・乙・丙・丁・・)、年月日をマークし、問題文を図形化する。

答練では、いつも蛍光マーカーを使っていましたが、試験本番でも許可を受ければ使うことができます。試験時間中の携行品

問題文を整理する方法は、登場人物を左側に縦に書き、それぞれ横線を引きます。そして、年月日を左から右へマークしていきます。そして、出願日などのイベントをマークしていきます。問題文で設定されている状況を、登場人物ごとに時系列に整理するわけです。

慣れてくると、時系列に整理された図をじっと見ると論点が浮かび上がってきて、自ずと答案で書くべき流れが見えてきます。

■題意把握に時間をかける

問題文を見てすぐに書き始めてはいけません。

上に書いたように設定されている状況を図形化し、題意をしっかり把握したあとに書き始めましょう。また、設問が例えば4問あった場合は、互いに関連した問題である可能性があるので、4問すべての題意を把握するまで書き始めないほうが良いでしょう。

1問目の答案を書いた後に2問目に取り組んだら、その答えを既に1問目の答案で書いてしまっていた、という経験をしたことがあります。そのため、完全に独立した問題であることが明らかである場合を除いて、答案を書き始める前に全問に目を通した方が良いでしょう。

そして、答案を書き始めたら最後まで一気に書き上げます。書くのを途中で止めると、そのあと書けなくなるものです。

■ 愛用のペンを選ぶ

なにかとつらい受験勉強ですが、「愛用のペンを選ぶ」のはちょっとした楽しみです。答案を速く、疲れずに書くための愛用のペンを選びましょう。

良いペンの条件としては、筆圧が少ないもの、ある程度太く、濃く書けるもの、ペンの軸は太めのものがお薦めです。答案を長時間書くことを考えると、手指が疲れないように軽く書いても太く濃く書けるのが良いペンの条件であることは理解できるでしょう。

私は、PILOTのHi-tecpoint V5 Grip を使いました(販売終了かもしれません)。いろいろ試して自分に合ったものを選びましょう。

■答案用紙は、本番と同じようなものを使う

最後に、受験テクニックではありませんが、答案を書く練習の場合でも本番の答案用紙と同様のものを使いましょう。受験機関で購入できます。

口述試験対策の勉強方法

論文試験後に出来るだけ早く受験予備校の口述対策講座を申し込む

論文試験が終わり、結果に少しでも手ごたえがあったなら、論文試験の合格発表を待たず、すぐに受験予備校の口述対策講座を受けましょう。

私はWセミナー(TAC)の講座を取りました。受験生同士で問題を出し合って回答するスタイルで口述の練習を行いました。一通り練習が済んだグループから講師を相手に口述の答練を行います。

緊張しているため、沈黙してしまったり見当違いのことを回答したりします。実力を出せるように、あがり症の人はメンタルの面を十分に練習をしましょう。

受験生の中には、昨年口述試験を受けて不合格だった方もおられます。口述試験本番の雰囲気を聞いたり、不合格になった推定原因、失敗の原因などの情報を入手できると有益です。

受験予備校の他は、LECの口述アドヴァンステキストなどを使って過去問をチェックしましょう。また、重要条文カードなどを使って、重要条文の暗記することも重要です。

また、短答試験をしばらく受けていないひとは、短答の参考書をひっくり返して、条文や趣旨、要件、定義を確認しておきましょう。

論文試験合格が分かったらすぐに模擬試験を申し込む

口述試験対策では、口述模試を数多くこなすことがとても大事です。

弁理士会の各会派の口述模試が特にお勧めです。受けることができる人数が限られているため、論文の合格発表後、直ぐに申し込んでください。なお、申し込みに事前登録が必要な場合があるので、合格発表前に登録しておきましょう。

特に春秋会口述試験練習会は、本番の口述試験会場と同じ「ザ・プリンスパークタワー東京」で行われるので、下見ができて特にお勧めです。

私は春秋会の口述模試を受けることができましたが、緊張して全く答えることができませんでした。受験の準備が不十分であっても、あえてこの時期に口述模試を受けて、自分のふがいなさを体験していただきたいと思います。その苦い体験が、その後の口述試験対策に活きること確実です。

模擬試験の数をこなす

弁理士会の各会派の口述模試が終わったら、続いてLECなどの受験機関の口述模試を複数回受けましょう。結構な金額が掛かりますが、最終合格のゴールはもうすぐです。最低でも3回、できれば5回受けましょう。

口述試験は模試を受けるたびに、旨く受け答えができるようになります。皆さんは知識のベースはできているのですから、練習を重ねると落ち着いて回答できるようになります。

重要条文は暗唱して覚えよう

重要条文についてはある程度覚えておく必要があります。私の場合は、重要条文カードを使って暗唱を繰り返しました。できるだけ声に出して耳からも覚えるようにしましょう。

口述試験本番では、特許法17条の2第4項、いわゆるシフト補正を聞かれました。たまたま条文を覚えていましたので落ち着いて回答することができました。

受験時の心構え

口述試験は、落ち着いて受けることができれば合格率が高い試験です。

私の受験日は、試験初日の午前中でした。「初日の午前中の受験者は合格率が高い」(まったくの真偽不明の噂です!)、と自己暗示にかけて試験に臨みました。おかげで、落ち着いて受験することができました。

口述試験では、「沈黙」は大きく減点されます。完璧な答えが浮かばなくてもとりあえず何か回答しましょう。試験官がヒントを出してくれることもあります。受け答えで「間違っているかな?」と気づいたら、回答を軌道修正することもできるでしょう。

口述試験の合否はメンタル面の影響が大きいです。できるだけ平常心になれるよう落ちついて行きましょう。

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