特許調査には先行技術調査・技術動向調査・侵害予防調査・無効資料調査がある

ライティング

一般の方は「特許調査」と言われてもピンとこないと思います。研究技術者の方であれば、特許出願前の先行技術調査(出願前調査ともいう)はご存知でしょう。しかし、特許調査にはその他にも「技術動向調査」「侵害予防調査」「無効資料調査」と全部で4種類あります。

本記事では、4種類の特許調査についてその概要をご紹介しています。

目次

特許調査には主に4種類ある

特許調査は次の4種類があります。その他に特許情報を活用した各種調査分析が知られています。

先行技術調査は、出願しようとしている発明が公知になっていないか否かの調査

先行技術調査は、出願前調査とも言われますが、無駄な出願を防止するために行われる特許調査です。出願しようとしている発明と同じ技術思想が、既に公開されて公知になっていないか否かを調査します。調査範囲は、技術分野によりますが、最近の公開公報を中心に調査を行います。調査漏れを気にしすぎるよりも出願日を確保するため、調査は迅速に行うことが重要です。

調査結果によっては、出願の断念、請求の範囲の絞り込みなどを行います。

技術動向調査は、研究の初期段階で研究テーマの方向性を決めるために行われる調査

技術動向調査は、研究の初期段階で研究テーマの方向性を決めるために行われる特許調査です。当該の研究テーマに関して既に多数の特許が出願されていないか否かを調査します。調査の範囲は、最近の公開特許(例えば過去5年間)を中心に、国内特許はもちろん、技術分野によってはUS、EP、PCTも調査します。

調査結果を詳細に分析し、研究の中止を含め、他社の出願がないセグメントを選択するなど、研究戦略の見直しに活用します。

侵害予防調査(クリアランス調査)は、特許権侵害を未然に防止するために行う調査

侵害予防調査は、新製品の製造・販売が他社の特許権を侵害することが無いように、特許権侵害を未然に防止するために行う特許調査です。調査範囲は特許権が存続している特許公報が中心になります。しかし、公開公報であっても審査請求されている案件は調査範囲に含めるべきでしょう。

調査結果によっては、無効資料調査、設計回避の検討、審査中出願の審査経過ウォッチングというような各アクションに引き継がれます。なお、この特許調査の特徴として、調査漏れが極力無いようにしなければなりません。

無効資料調査は、障害となりうる他社の特許権に対して、その障害を取り除くために行う調査

無効資料調査は、新製品の製造・販売時に障害となりうる他社の特許権に対して、その障害を取り除くために行う特許調査です。具体的には他社の特許登録に無効理由がないか、その無効理由(例えば、当該発明の出願前に公開されている資料の存在)となりうる資料を探し出す特許調査です。調査範囲は、国内特許はもとより、有効な資料が見つからなければ海外特許も調査しなければなりません。場合によっては、各社から出ている「技報」など非特許文献も調査範囲になり得ます。

調査の結果、特許を無効化できる資料が見つかれば、ひとまず安心して新製品の製造・販売が行えることになります。このように調査結果が事業に大きく影響するため、非常に重要な特許調査と言えます。

その他の特許調査・分析

以上紹介した4種類の特許調査の他に、特許情報を用いた調査分析には以下のようなものがあります。

・競争優位を作るために行われるIPランドスケープ
・M&A・提携先候補を検討するために行うアライアンス分析
・競合動向分析/発明者分析
・特許管理コスト削減検討のために行う自社特許分析


ここまで読んでいただき、どうも有難うございました。

是非、また、当ブログを読んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。

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