定年後の仕事に特許調査の仕事をすすめる理由

本記事では、研究開発部門の経験者にとって、定年後の仕事に特許調査の仕事が適している、その理由をご紹介しています。

目次

研究開発部門の方の定年後の仕事におすすめする、特許調査という仕事

研究開発部門の方は、現役の頃に特許の出願等で知財部の人と関わりを持ったことがあるでしょう。また、専門とする技術の傾向を知るために特許公報を読まれたこともあるでしょう。或いは、他社の特許発明を使わないように設計変更を考えた経験もあるかもしれません。このように、研究開発部門の方にとって、特許は比較的身近な存在だったと思います。

ところで、特許に関わる仕事は「出願業務」以外にもいろいろあります。「特許調査」という仕事もその一つです。この特許調査とは、特許情報を使った技術動向の調査や、競合他社の最近の動向の調査を含んでいます。これら特許調査の仕事は、技術者・研究者の定年退職後の仕事として最適と考えます。

現役時代に積み上げてきた専門知識を定年退職で埋もれさせてしまうのは、実にもったいないと思いませんか? 定年再雇用する会社側から見れば、優れた技術力を有する人材を比較的安い給料(定年前の6割から4割?)で働いてもらえます。

一方、雇用される側から見れば、このあとに説明するように「特許調査」という仕事は、知的好奇心を満足させてくれる楽しい仕事であると考えます。

研究部門や技術部門で働かれている方で近いうちに定年退職される方、「特許調査」を定年後の仕事のひとつとして考えてみませんか?

特許調査とは具体的にどんな仕事なの?

「特許調査」と言っても具体的にはどんな仕事なのでしょうか?「特許調査」は、大きく分けると4種類あります。

一つ目は、特許出願前の先行技術調査です。出願しようとしている発明が既に出願されているかもしれませんから、先願の有無を調査しなければなりません。この調査は、通常発明者自身が行う場合と、知財担当が調査を手伝う場合とがあり、会社によって異なる場合があります。

二つ目は、無効化資料調査です。自社の事業にとって邪魔な特許権がある場合に、警告を受ける前に当該の特許を無効にすべく出願前に公開された特許公報や論文を探し出す調査です。経営にとって非常に重要な調査です。

三つ目は、新規事業の検討の一環として行う特許調査です。例えば、ABCという新規事業を行うと考えましょう。その時に、ABCの市場にどんなプレーヤーがいるのか?特許出願しているセグメントはどこか?などを調査するものです。調査結果をもとに出願すべきセグメントを定め、出願戦略に反映させます。

四つ目は、技術動向調査・競合の動向調査です。ライバル企業の開発動向を特許情報を使って早く見つけ出すための調査です。競合他社が新規事業をやろうとしている兆しがないか?新しい技術開発を始めていないか?などです。競合他社がプレス発表した新製品や新しいコンセプトについて、その詳細内容を知るために特許を調べることもあります。

特許調査の仕事が研究開発部門の経験者に向いている理由

元研究者/元技術者が「特許調査」という仕事に向いているのは何故でしょうか?ここでは上に書いた四つ目の特許調査、「技術動向調査・競合の動向調査」について考えていきます。

一つ目は、当然ですが保有する専門技術力です。現役のときの専門技術に関する特許公報なら難なく調査できます。これについては説明が要りません。

二つ目は、周辺技術についても理解していることです。例えば、自身は電源ユニットの開発を担当していたとしましょう。それでも、コントローラーや機械構造、ファームウェア、ユーザーインターフェースなどについても、ある程度理解できます。何故なら現役の時にそれらの担当者と接していますし、実際に”モノ”も見ているからです。

三つめは、未知の技術に対しても理解力があることです。経験していない技術分野に対しても、特許公報を熟読しネットで専門用語を検索することで、書いてある内容がある程度理解できるようになります。おそらく、長年の研究・技術での経験によって、頭の構造というか思考回路が、知らない技術でも理解できるように培われているのではないかと推測します。

四つ目は、技術に対する知的好奇心があることです。調査では、A.I.や5Gなどの新しい技術について調査することもあります。世の中で話題の新しい技術について ” 仕事 ” として調べることができるのです。どうですか、技術者としてこんな楽しい仕事は、なかなか無いでしょう。楽しく仕事ができれば、調査報告書という成果物も良いものが期待でき、良いサイクルを回すことができます。

あなたも、定年後の仕事に「特許調査」という仕事を検討してみては如何でしょうか?

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