【推薦】弁理士・論文試験対策の実践的勉強方法

弁理士試験 論文 必須科目 答案作成

弁理士の資格取得を目指しておられる方で、効果的な勉強方法に悩まれておられる方が多いのではないでしょうか? 蓄積しなければならない知識量か膨大なので、効率よく勉強しないと資格取得まで何年もの期間を要することになってしまいます。

私は企業の研究開発部門に所属しながら勉強を続け、幸運にも平成23年に弁理士試験に最終合格することができました。その後、研究所から知財部に異動させてもらい、定年退職後に、関連会社の特許調査会社に勤務しております。

本記事では、私の受験の体験を踏まえ、弁理士試験に最終合格するための勉強方法について、特に論文試験対策の実践的な勉強法についてご紹介しています。

目次

論文試験対策の勉強方法

資格受験予備校の答練を活用する

弁理士試験を目指した初学者の頃、代々木塾の論文サブノートを購入した当時のエピソードです。論文サブノートには与えられた問題に対して書かなければならないことが整理されて記載されているのですが、最初にそれを見たときは、気が遠くなるのを覚えました。「こんな風に書けるわけがない!!」と。

私の体験を言いますと、まず最初に代々木塾の論文対策の答練を受けました。答練といっても小問で題意がストレートな入門コースです。

最初はどう書いて良いものやら分からず、解答用紙は余白・余白ばかりでした。この状況は誰もが通らなければならない路です。最初は書けなくて唖然とするのです。それでも負けずに書くことを続けることです。苦しいけれど書き続けることが大事です。

この段階ではとにかく書くことに慣れることです。日常ではペンで手書きすることが少なくなりましたから、なおさら練習が必要です。

小問の答案がある程度書けるようになったら、本番に近い問題にトライしましょう。

本番に近い答練で重要なのは問題文の「題意把握」です。複数の人物(甲・乙・丙・丁・・)が登場し、複数の事象(出願・公表・実施権の許諾・実施・・・etc.・)が問題文で説明されます。

この問題では何が問われているのかを把握して、出題者の意図に添った答案が書けるようになることが必要です。条文に添って回答すること、あるいは、判例にあてはめて回答する事もあります。

受験予備校の答練を受けると、答案を書き終わった後に講師の解説があります。問題を時系列に図形化して整理して解説してくれるので、自分が見落とした論点が分かるなど、得るものがたくさんあります。

受験予備校によっては、「模範答案」を使って説明してくれるところもあります。「模範答案」は、「本」になっているようにきれいに整理された答案ではなく、リアルな臨場感がある答案です。具体的には文章が省力化されているものです。

限られた時間で答案を書くには、「本」に印刷されているような完璧な文章では時間が足りません。必要十分な内容を如何に省力化して表現するか、ということが求められます。そのため生々しい模範答案は非常に役立つわけです。

とにかく論文試験の勉強はアウトプットを多くこなすことが大事で、そのためには受験予備校の答練を受けることを強くお勧めします。

判例の勉強

論文試験では、判例を意識した問題が出題される場合があります。

判例を知っているのと知らないのとでは大違いです。判例を知っていれば、判例に沿った流れで回答が書けますが、判例を知らないと、出題者の意図が理解できずに最後まで「???」のままで終わってしまいます。

判例の参考書としては、法学書院・正林先生の「知的財産法判例教室」をお勧めします。別冊ジュリスト「判例百選」にも手を出しましたが、あまり深入りしないほうが良いでしょう。

特に、商標法は判例の勉強が欠かせないので、しっかり準備しておきましょう。

論文試験対策にはカードを利用した勉強方法がおすすめ

問題の題意に対する答案の流れを、カードにまとめて暗記しました。カードといってもB6サイズの大判カードです。

こういう問題が来たら、こういう流れで答案を書く、という論文の流れをカードにまとめました。例えば、他社の特許権を侵害している旨の警告を受けた場合の対処は? 特許登録原簿の確認、特許請求範囲の確認、直接侵害・間接侵害の有無・・・等々です。

今考えるとカードなんて古臭いと思います。今だったら、パワーポイントのようなスライドに集約してタブレットで見れるようにすると良いでしょう。要は、問題を見て、解答を考えて、めくって、正解を確認する、ということを繰り返して覚えることです。

答練は1校に絞る

論文試験対策で失敗から学んだことを紹介します。

私は上に書いたように、最初は代々木塾の答練を受けておりました。成績も受講生の中では上位でした。

ところが、論文試験の合格をより確かなものにしようと、途中から他校(Wセミナー/現TAC)の答練も掛け持ちで受講することにしました。これがいけなかった。

あくまで私の個人的な感覚ですが、受験予備校によって論点の問題文への仕込み方が違うようです。正面から論点を問う問題や、ややひねっている問題、論点を隠している問題、などです。

十分な実力がついていない段階でいろいろな性格の問題に対すると、答案作成のスタイルがあっちに行ったりこっちに来たりで、混乱してしまいます。結果的に2年目の論文試験対策に失敗してしまいました。

自らの経験から、答練では受験予備校は1校に絞ったほうが良いです。ただし本番試験直前の模擬試験では、自信を着けるために他校の模擬試験を受けても良いでしょう。

受験テクニック

■ 蛍光マーカーを使って、登場人物(甲・乙・丙・丁・・)、年月日をマークし、問題文を図形化する。

答練では、いつも蛍光マーカーを使っていましたが、試験本番でも許可を受ければ使うことができます。試験時間中の携行品

問題文を整理する方法は、登場人物を左側に縦に書き、それぞれ横線を引きます。そして、年月日を左から右へマークしていきます。そして、出願日などのイベントをマークしていきます。問題文で設定されている状況を、登場人物ごとに時系列に整理するわけです。

慣れてくると、時系列に整理された図をじっと見ると論点が浮かび上がってきて、自ずと答案で書くべき流れが見えてきます。

■題意把握に時間をかける

問題文を見てすぐに書き始めてはいけません。

上に書いたように設定されている状況を図形化し、題意をしっかり把握したあとに書き始めましょう。また、設問が例えば4問あった場合は、互いに関連した問題である可能性があるので、4問すべての題意を把握するまで書き始めないほうが良いでしょう。

1問目の答案を書いた後に2問目に取り組んだら、その答えを既に1問目の答案で書いてしまっていた、という経験をしたことがあります。そのため、完全に独立した問題であることが明らかである場合を除いて、答案を書き始める前に全問に目を通した方が良いでしょう。

そして、答案を書き始めたら最後まで一気に書き上げます。書くのを途中で止めると、そのあと書けなくなるものです。

■ 愛用のペンを選ぶ

なにかとつらい受験勉強ですが、「愛用のペンを選ぶ」のはちょっとした楽しみです。答案を速く、疲れずに書くための愛用のペンを選びましょう。

良いペンの条件としては、筆圧が少ないもの、ある程度太く、濃く書けるもの、ペンの軸は太めのものがお薦めです。答案を長時間書くことを考えると、手指が疲れないように軽く書いても太く濃く書けるのが良いペンの条件であることは理解できるでしょう。

私は、PILOTのHi-tecpoint V5 Grip を使いました(販売終了かもしれません)。いろいろ試して自分に合ったものを選びましょう。

■答案用紙は、本番と同じようなものを使う

最後に、受験テクニックではありませんが、答案を書く練習の場合でも本番の答案用紙と同様のものを使いましょう。受験機関で購入できます。


なお、お時間があれば、弁理士試験対策の勉強方法についてまとめた【保存版】合格者がすすめる弁理士試験の実践的勉強方法もご覧ください。

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