弁理士会の会費は月額15,000円、資格取得後に掛かる費用を考慮すべき

弁理士の資格取得に向けて勉強に励まれている方は必見です。みなさんは試験に合格することを第一に考えられていることでしょうが、ちょっと立ち止まって確認しましょう。弁理士の資格取得後に、その資格をどのように活かすのか、お考えですか? また、資格取得後に弁理士として仕事をするには、弁理士会へ会費を月に15,000円を納めなければならない、ということをご存知でしたか?弁理士として活動するにはランニングコストが掛かることを知っておきましょう。

目次

50歳台の受験生は必見! 資格取得後に掛かる費用を考慮しましょう!

私は研究職にある時に弁理士試験に合格し、その後に希望して知財部に異動し、現在は特許調査会社に転職して調査業務に携わっています。平成23年に弁理士試験に最終合格し、実務修習を修了しましたが、弁理士登録はしていません。その理由をお話しします。

弁理士になるためには国家試験に合格するだけでは十分ではありません。試験に合格後に実務修習を受講しなければなりませんが、その費用として118,000円が掛かります。そして実務修習の終了後に晴れて弁理士に登録することができますが、登録の際には登録免許税60,000円と登録手数料35,800円必要です。

従って、弁理士試験の合格後に20万円強の費用を払ってはじめて弁理士を名乗れるようになるわけです。しかし、これで終わりではありません、弁理士会に所属する必要があり会費として毎月15,000を納める必要があります。年間18万円ですね。

お恥ずかしい話ですが、試験合格後の実務修習を受けるまで、この事実を私は知りませんでした。試験に合格する事だけを考えていて、実務修習の費用や登録免許税や手数料、それに弁理士会費がそれだけかかることは全く考えておりませんでした。

登録免許税と登録手数料は一時的に発生する費用なので、それくらいは良しとしましょう。しかし、それ以外に弁理士会の会費が月額15,000円掛かるのです。弁理士として月に15,000円以上の収入を得なければペイしませんね。

特許事務所で働いている方や、企業の知財部に所属している方の場合は、これらの費用を事務所や会社で負担してくれるかもしれません。この場合は、まったく問題ありませんので弁理士の資格を取りましょう。

しかし、企業の知財部以外の技術開発部や研究所で働いている方は、会社が弁理士会の会費を負担してくれることは、おそらくないと思われます。

私の場合は、試験に合格後3年経ってから知財部に異動しましたが、会社が会費を負担する場合は、「知財部での勤続が3年以上」という条件が付いていました。さらに知財部に異動したといっても、特許調査が主な業務であり、出願に関わる業務を担当していたわけではないので、会社が負担してくれる可能性は少なかったと思われます。

以上お話ししたように、研究開発部門の方で弁理士の資格取得を考えられている方は、苦労して弁理士資格を取得すべきが否か、今一度、冷静にお考えになったほうが良いでしょう。あなたが仮に30歳台で若くて、資格取得後に知財部で永く働かれるつもりがあるのであれば、弁理士資格を取得しても良いですが、私のように50歳台から勉強を始めようとされる方はよくお考えになったほうが良いと思います。

弁理士の資格が活かせるか?

弁理士の資格を取得したら、晴れて特許事務所を立ち上げますか?しかし、考えてもみてください。出願業務の実務経験もないひとが資格だけで食っていけるほど世の中は甘くありません。それに、もし、あなたが大企業といわれる会社で働いている場合は、弁理士として独立しても収入は今よりもおそらく少なることが目に見えています。

弁理士業も、かつてのようには儲からないようです。試験合格後に「実務修習」という弁理士になるための集合教育があります。そこで特許事務所で働かれている複数の方とお話しさせていただく機会があったのですが、明細書を短時間で作成して数をこなしていかないと食っていけないそうです。まして出願件数が右肩下がりで減っていく現代では、経営が厳しいと思われます。

それでも、弁理士試験合格という経歴は使いみちがあります。知財部への異動の願いも通りやすくなりますし、また、異動した後でも、弁理士試験合格の経歴は知財部の中でも一目置かれます。もちろん、勉強して習得した特許法の知識は特許調査実務でも役に立つ場面が多くあります。

結論

以上をまとめると、あくまで一般論ですが、現在特許事務所にお勤めの方や、企業の知財部で出願業務を担当されておられる方は、迷うことなく弁理士資格取得に向けて勉強を頑張っていただければ良いと思います。

一方で現職が技術職や研究職の方は、弁理士試験取得の勉強を始めて本当に良いのか? 取得した弁理士の資格をどう使うのかを含めて改めてよく考えていただきたいと思います。弁理士の資格取得に向けていったん勉強を始めてしまうと、勉強に費やした膨大な時間や受験予備校に掛かる多額の費用を回収しようとして、途中で引き返すことが難しくなりますよ。

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