EP/欧州特許・GB/英国特許の経過情報・審査経過書類の見方

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特許調査をしていると、審査経過書類を調べることが稀にありますが、 EP(欧州特許)やGB(英国特許)の審査経過の確認に苦労していませんか? 本記事ではEP(欧州特許)とGB(英国特許)の審査経過書類の参照方法についてご紹介します。

目次

審査経過書類とは、出願人と審査官等とのやり取りを記録した書類

審査経過書類は「包袋」または「File Wrapper」ともいう

「審査経過書類」とは、文字通り、特許の審査過程における出願人と特許庁/審査官とのやり取りを記録した書類です。出願書類や拒絶理由通知書、補正書、意見書など様々な書類があります。

「審査経過書類」のことを「包袋(ほうたい)」と言うこともあり、米国では「File Wrapper」と言います。文字通り、審査経過書類を束ねてまとめたものです。因みに「包袋」という語句は、審査の過程で生じた様々な書類をファイルに挟んで、それらを袋に入れているからと言われています。

余談ですが、私が技術者だった昭和の頃は、包袋が電子化されていませんでしたので、包袋を取り寄せる請求をすると、B5サイズの書類やA4サイズの書類が束になったものを受け取った記憶があります。それも、取り寄せるのに1ヵ月とかそのくらい長期間を要したものでした。

審査経過書類を確認する目的は、権利範囲を見極めるため

ところで「審査経過書類」を参照するのは、何の目的のためでしょうか? 一つは、気になる他社特許の審査経過を逐一監視するために参照する場合があります。もう一つは、登録済の他社特許の権利範囲を精査するために参照する場合があります。私の場合は、後者です。

例えば、自社実施製品に関連しそうな他社特許が見つかった場合や、無効化を図ろうとする際に、その特許権の権利範囲を精査する必要があります。例えば、請求の範囲の範囲で「接合手段」という語が使われていて、その特許権が及ぶ範囲を精査したい場合があります。

「接合手段」と言っても、ねじ止め、溶接、接着、カシメなど様々ありますが、「接合手段」がどこまでの範囲を言うのかはっきりしません。そこで、審査過程において拒絶理由通知でどのような拒絶理由が言われ、出願人が意見書でどのように反論しているかを確認します。

例えば、出願人が拒絶理由を解消するために、意見書のなかで仮に「本発明の「接合手段」に”接着”は含まれない」などと主張している場合、自社の接着による接合は、この特許の権利範囲に含まれないことになります。いわゆる「禁反言の原則」「エストッペルの原則」です。

禁反言の原則とは

人が自由意志に基づいて行った自分の行為、または捺印(なついん)した証書に反した主張をすることを禁止すること。 取引の安全のために重要な意味をもつ、英米法の法理。

このように、無効資料調査の時に「審査経過書類」を確認することが稀にあります。

EP/欧州特許の審査経過書類の参照方法

それでは、欧州特許の審査経過書類の参照方法について具体的に説明していきます。

審査経過書類は、EspacenetのSmart Searchで参照することができます。入口はこちらです。

まず、下図のように、Espacenetのサイトを開き、特許番号を入力して「検索」をクリックします。

次に下図のように発明の名称(タイトル)をクリックします。

下図のように、書誌事項が表示されます。ここで「Global Dossier」をクリックします。

下図のように「審査記録」の一覧が表示されます。ここで、アンダーライン付き文字の書類が電子で見ることができる文書です。クリックすると当該のPDFファイルが開きます。

このようにして手軽にEPの審査経過書類を見ることができます。

次に、GB(英国特許)の審査経過書類の参照方法について説明します。

GB/英国特許の審査経過書類の参照方法

GBの審査経過書類は、UK特許庁のIpsumのサイトで参照することができます。入口はこちらです。

下図のように、「Publication Number」を選択したうえで、特許番号を入力し、「Go」をクリックします。

下記のように書誌事項が表示されますが、ここでは左の「Documents」をクリックします。

下図のように審査記録の一覧が表示されます。各書類の右側にある「View」をクリックするとその書類を参照することができます。

このように、GB(英国特許)でも手軽に審査経過書類を参照することができます。

如何でしたでしょうか、審査経過書類を見る機会はあまり多くないと思いますが、お役に立てれば幸いです。

なお、JP、USP、DEドイツ特許の経過情報の見方については、【保存版】特許経過情報・審査経過書類の確認方法 (JP/US/EP/GB/DE)をご覧ください。


ここまで読んでいただき、どうも有難うございました。

是非、また、当ブログを読んでいただきますよう、よろしくお願いします。

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