太陽光発電 日本企業は特許取得件数が多いのに撤退が相次ぐ

日本メーカーは太陽光発電に関する特許取得件数が多いのに、太陽光発電市場からの撤退が相次いでいる、というニュース記事に関して考えていきます。

記事の概要

「太陽光、応用に強い米企業 特許多い日本勢は撤退続出」という日経産業新聞の記事が、知財の仕事に携わる身として、非常に残念な寂しい気持ちになる記事だったので、皆さんに紹介したいと思います。

温暖化ガスの実質ゼロを目指すうえで、太陽光発電やリチウムイオン電池などの蓄電池が、今注目されています。日本企業においても太陽光発電の研究開発が押し進められ、21世紀初めまでは日本企業が高い市場シェアを有していました。

特許分析を行うアスタミューゼ社の調査によると、2000年以降の出願における特許取得件数では、世界で1位がキヤノン、2位がソニー、3位がシャープ、4位が富士フイルムホールディングス、5位がパナソニックIPマネジメント、6位が三菱電機、7位が京セラ、8位がパナソニック、9位が東芝、10位がLG電子と、上位10社の9位までが日本企業が占めています。

しかし、後発の中国企業の躍進によって、特許取得件数1位のキヤノンは太陽電池事業から撤退し、パナソニックも21年度中に太陽電池生産を終了するということです。

市場の撤退理由は日本企業にコスト競争力が無いからか?

知財という仕事に携わる身としては、とても失望する記事でした。特許権は他者に実施させない排他権です。したがって、いち早く特許権を取得して参入障壁を作るべし、ということを学んできたつもりです。

価格競争に巻き込まれたということは、特許権による障壁はあまり役に立たなかったということでしょうか?仮に、日本企業1社の特許権を回避できたとしても、オールジャパンで特許網を構築できていれば、中国企業といえども、そうそう破られないはずです。

記事によると「装置産業化が進んで中国企業との価格競争になった」とあります。半導体や液晶パネルなどの装置産業では、特許権の効力が使いにくいのでしょうか。例えば、モノの特許の侵害確認がしにくい。或いは、製造方法の特許が多数で、これまた侵害確認がしにくい。あくまで私の想像ですが。

装置産業においては、その成功要因が積極的な設備投資にあるのでしょうか。そうだと仮定すると、中国企業が有利で、意思決定の遅い日本企業はこれからも不利な状況が続くことになりそうです。日本の産業がどんどん弱体していくのでしょうか?とても残念な寂しい気持ちになります。


ここまで読んでいただき、どうも有難うございました。

是非、また、当ブログを読んでいただきますよう、よろしくお願いします。

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