雪山のテント泊でフライシートを使ってはいけない!
約3年前の冬に谷川岳でテント泊をした時に貴重な体験をしました。積雪期にテント泊を考えている方に参考になればと思い、当時の失敗談をご紹介いたします。本記事では、ラッセルの体験と大雪の中でのテント泊で経験した少し怖い話をご紹介しています。
目次
暮れも押し詰まった12月末に西黒尾根から谷川岳を目指す
東京から電車で水上駅まで移動し、水上駅からバスで谷川岳ロープウェイ駅に12:00に到着した。当日のメンバーは平均年齢約60歳の5名。ロープウェイ駅に着くと、大雪と強風のためロープウェイは終日運休とのことだった。もとよりロープウェイを使う予定はなかったが、かなりの大雪で天神平の気温はマイナス9℃、積雪160cm、降雪70cmというお知らせが出ていた。
身支度を済ませて13:00にロープウェイ駅を出発した。考えていた以上に雪が深く、登山指導センターを過ぎたところで早々とワカンを装着することになった。そして、そこからラッセルが始まった。積雪量はところによって50cm以上あり、10m進んでは先頭を交代しながらラッセルで進んだ。西黒尾根登山口まで通常10分で行ける距離が1時間以上かかる有様だった。
結局、西黒尾根に取り付くも、テント場まで付くことができないと判断し、15:00で前に進むことを諦め、テントを設営できるところまで戻ることにした。
西黒尾根登山口の状況 西黒尾根に取り付く
登山口から少し戻った登山道のカーブしたところの道幅が広く、ガードレールが風よけになる場所があったので、大雪の中で5人で手分けしてテントを設営した。
一晩明けて、翌日も大雪が止まなかったので下山することを決断した。一晩中雪が降り止まなかったため、昨日来た時に付けたラッセルの踏み跡がすっかり消失しており、昨日よりも更に深く積もった雪をラッセルしながら降りてきた。20Kg超のザックを背負ってのラッセルは予想以上に体力を消耗することが身をもって体験でき、良い経験をすることができたと思う。
テント泊の夜の少し怖い体験
テントの中では、各自が持ち寄ったつまみで酒を飲みながら談笑して過ごしていたが、ご飯の準備をしようと、もう一つのシングルバーナーに火を点けようとした。ここで妙なことが起きた。ライターで着火しようとしたが火が付かない。他のライターに変えてみるが、やはり点かない。おかしいなぁ~、マッチをこすっても火が付かない。どうして???
実は、テントのフライシートの裾のところまで雪が積もったためテント内への通気が悪くなり、テント内の下の方に二酸化炭素が充満していたのでした。座っている人の顔の辺りには酸素が残っているので、全く気が付かないのですが、下の方は酸素が無くなっているせいで火が点かないことが分かりました。
原因が分かって、皆で「怖い!怖い!」と大笑いしましたが、日常では経験することが無いことでした。先輩の話を聞くと、テントで寝ているときに夜中に息苦しくて目を覚ますことは時々あるそうです。しかし一酸化中毒と違って、そのまま大事に至ることは無いようです。
雪による酸欠のリスクが分かったので、その後は時々テントの入り口を開けて換気し、また、夜中も交代で雪下ろしと、フライシート周りの除雪を行いました。
酸欠の根本原因は、積雪期のテントにフライシートを使ったことです。フライシートは雨除けですが通気性はありませんので、裾の部分が積雪で塞がれると通気することができなくなり酸欠します。冬は、通気性のある「外張り」を使うのが本来の使い方です。「外張り」を持っている人は、あまり多くないと思いますが、積雪期にテントを楽しもうという方は用意しておいた方が良いでしょう。欠点としては、装備が重くなることですが、軽量化を重視するのであれば「内張り」というものもあります。調べてみてください。
夜中も交代で雪下ろしする 翌朝はこんな状態
教訓 雪山テント泊ではフライシートを使ってはいけない
ラッセルは考えている以上にきついです。したがって、機会があれば事前に体験して大変さを知っておくことをお勧めします。また、ラッセルを少人数で交代して行うのはかなりきついので、パーティーは最低4人程度以上必要と個人的には思います。
積雪期にフライシートは使わない。降雪が予想されるのであれば、軽量化のためフライを持って行かないほうが良いと思います。積雪期のテント泊をされる方は、「外張り」か「内張り」の購入を検討された方が良いでしょう。その際、自分が持っているテントに装着できるか否か、お店の人に確認しましょう。
最期に、登山は登頂できなくても何らかの学びが得られるということを身をもって知ることができました。
ここまで読んでいただき、どうも有難うございました。
是非、また、当ブログを読んでいただきますよう、よろしくお願いします。