IPランドスケープはマーケット情報を駆使した事業環境分析が中心

「IPランドスケープとは?」知財業界で喧伝される割に、その実態が分かりにくいのではないでしょうか?本記事では、特許庁から公開された「知財人材スキル標準(version2.0)」から「IPランドスケープ」について明らかになったことをご紹介しています。

目次

IPランドスケープは知財人材に求められる戦略レベルのスキル

IPランドスケープとは、2017年に特許庁から発行された「知財人材スキル標準(version2.0)」のなかで「戦略スキル」として定義された用語です。

IPランドスケープは、知財人材に求められる戦略レベルのスキルの一つとして位置づけられています。即ち、①IPランドスケープ、②知財ポートフォリオマネージメント、③オープン&クローズ戦略、④組織デザイン、の4つです。

”知財の人材育成におけるスキルを評価する標準”として定められたものである、というのは意外な発見です。また、「スキル」ですから、「知識」ではなく実際の業務遂行に必要な能力「実務能力」を対象にしています。

また、この「実務能力」は「職種」毎ではなく「業務」毎に必要とされる実務能力とされています。そして知財の業務は大きく「戦略」と「実行」に分類され、「実行」はさらに「管理」と「実務」に分類されています。ちなみに特許調査やパテントマップ作成は「実務」に属しています。

以上のように、IPランドスケープは知財の「戦略業務」に関するスキルの一つということになります。

戦略業務は新規事業創出等に知財人材が果たすべき役割

では、「戦略業務」とはどんなものでしょうか?

「戦略業務」は、「経営もしくは事業上の重要な課題である新規事業創出、既存事業の維持、成長、撤退に対する貢献として知財人材が果たすべき役割」と定義されています。

また、知的財産部門の企画系人材のような人材がその対象とされています。

IPランドスケープの6つの具体的業務内容

「戦略業務」の一つである「IPランドスケープ」の具体的な業務内容とは、どういう業務なのでしょうか?

IPランドスケープの業務内容は、以下のように定められています。1.乃至3.は、従来の特許分析・特許マップでも馴染みがあります。

1.知財情報と市場情報を統合した自社分析、競合分析、市場分析

2.企業、技術ごとの知財マップ及び市場ポジションの把握

3.個別技術・特許の動向把握(例:業界に大きく影響を与えうる先端的な技術の 動向把握と動向に基づいた自社の研究開発戦略に対する提言等)

4.自社及び競合の状況、技術・知財のライフサイクルを勘案した特許、意匠、商 標、ノウハウ管理を含めた、特許戦略だけに留まらない知財ミックスパッケージ の提案(例:ある製品に対する市場でのポジションの提示、及びポジションを踏まえた出願およびライセンス戦略の提示等)

5.知財デューデリジェンス

6.潜在顧客の探索を実施し、自社の将来的な市場ポジションを提示する。

IPランドスケープはマーケット情報を駆使した事業環境分析が中心

前述の業務内容1乃至3を見るとパテントマップに近いと思われますが、IPランドスケープはどのあたりが異なるのでしょうか?

知財人材標準スキルには、「IPランドスケープはパテントマップとは異なり、自社、競合他社、市場の研究開発、経営戦略等の動向及び個別特許等の技術情報を含み、自社の市場ポジションについて現状の俯瞰・将来の展望等を示すものです。」と定められています。

また、前述した業務内容からも「市場情報」「市場分析」「市場ポジション」などマーケティングの観点が必要とされていることが分かりますね。したがってIPランドスケープでは、従来のパテントマップと異なりマーケット情報を駆使した事業環境分析が重点となると考えられます。

つまり、従来の知財に関わる知識に加えて、市場の視点からみた技術のトレンドに関する知識ビジネス(経営学)とそのトレンドに関する知識が必要とされるのですね。

今回は、特許庁の「知財人材スキル標準(version2.0)」のIPランドスケープに関係する部分を読んでまとめてみました。少し、理解が進んだような気がします。


ここまで読んでいただき、どうも有難うございました。

是非、また、当ブログを読んでいただきますよう、よろしくお願いします。

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