【保存版】技術動向調査の進め方 10ステップ
新たな技術に関する情報は一般的に少ないので、特許情報をあたることが有力な調査方法になります。本記事では、特許情報を使った技術動向調査の具体的な進め方やコツをご紹介しています。
技術動向調査とは技術開発の方向を検討する際に行われる特許調査のこと
そもそも「技術動向調査」とは何でしょうか?「技術動向調査」とは、技術開発の初期段階で開発テーマに関係する特許情報を調査するもので、技術開発の方向性を決める時などに行われる特許調査のことです。特許庁が行っている「特許出願技術動向調査」が代表的なものです。
企業が新規事業への参入を考えているときに、その技術分野にはどんなプレーヤーが存在するのか? どんな技術領域に出願しているのか? 他社が未だ出願していない技術領域はないか?などを調査します。
そしてその調査結果は、技術開発戦略と特許出願戦略にフィードバックされることになります。
技術動向調査の進め方 10ステップ
技術動向調査の依頼があった場合、以下の手順で行います。
1.調査依頼者から、特許調査の目的についてヒアリングします。この段階では、調査依頼者が考えている調査目的がぼんやりしていることが間々あり得ます。ディスカッションを通して調査目的をできるだけ具体的なものに落とし込むようにし、できれば最終的な成果のイメージを共有することができると良いでしょう。
2.調査目的とともに、「得られた調査結果をどのように使う予定なのか」を、ヒアリングで確認しておきます。例えば「○月の下旬に担当役員に報告する際に使用する。」とか、「中期計画を策定する際に使用する。」とか、「出願戦略を策定する際に使用する。」などが考えられます。調査結果がどのように用いられるかによって、調査結果のまとめ方や提言内容に影響するからです。
3.次に、ヒアリング結果に基づいて予備的な調査を行います。これは、本格的な調査に着手する前に調査ボリュームの大きさを把握し、調査に要する工数の見積もり、提示する納期を決めるために必要です。
4.続いて調査計画書を作成します。これは依頼者に提示して調査内容に齟齬がないか確認してもらうためです。調査計画書には、調査目的、調査項目、納期などを明記します。調査テーマが大きい場合や調査期間が長期になる場合には、最終報告の前に中間報告の日を定めることをお勧めします。
5.依頼者に調査計画書を提示し、調査内容や納期について合意を得た後に調査に着手します。その際に調査項目の追加要求があるかもしれません。
6.調査ではケースバイケースですが、全体の技術動向を調査して概要を把握した後に、一段掘り下げて詳細の技術動向を調査するのがオーソドックスだと思います。いきなり細部に切り込んでも、全体の中でどういう位置づけなのかが不明になります。したがって、「全体」=>「詳細」の流れとなるように考えます。
7.調査報告書の作成に当たっては、報告の流れが分かりやすいように、まず、目次を作り、その目次に添って調査結果を当て嵌めていきます。報告書の雛形を作っておくと役に立ちます。
8.報告書はパワーポイントを使う場合が多いと思いますが、各スライドで「言いたいことは何なのか?」を必ず明記します。表やグラフを貼りつけるだけでは不十分です。この表やグラフから何が言えるのか、各スライドに必ずコメントを明記します。
9.調査結果を全て報告書の本編に載せる必要はありません。あれもこれもと調べたことを全て報告書に入れると報告の流れが悪くなります。報告の流れを分かりにくくするおそれがあるスライドは、後ろの方に「Appendix」として添付すると良いです。こうしておくと質問への応答で使えることもあります。
10.報告書の最後は、依頼元への「提言」という形で終わります。「提言」があると「調査の結果、こうでした」で終わる調査報告書と比べると雲泥の差があります。
ここまで読んでいただき、どうも有難うございました。
是非、また、当ブログを読んでいただきますよう、よろしくお願いします。