多数の特許公報を効率的に読むには出願人毎に分けると良い
仕事柄、毎日特許公報を読んでいますが、特許公報を効率的に読むにはちょっとしたコツがあります。本記事では、特許調査を長年手掛けてきた経験をもとに、そのコツをご紹介しています。
目次
公報と対話しながら、時には突っ込みを入れながら読むと眠くならない
特許調査の仕事では、多数の特許公報を読まなければならない事があります。例えば、1,000件くらい目を通すことはよくあります。公報を読む作業を黙って長時間続けていると、決まって眠くなります。知財部員や特許調査の担当者であっても眠気との闘いは避けられません。皆さんも経験があると思います。この眠気対策を三つ紹介します。
一つ目は、机に5分間くらい突っ伏して仮眠をとることです。本当は、これが一番効果があるんです。しかし、会社では人目があって、なかなかできませんよね。眠気を我慢して朦朧とした状態で仕事を続けても、結局、間違いが多くて仕事の進みも遅くなるんですが・・・。
二つ目は、トイレに立ったり、フロア内を歩き廻ったり、とにかく体を動かすことです。お茶を飲んだりするのも効果がありますよ。
三つめは、明細書の内容に ”同意”したり ”突っ込み” を入れながら読むことです。「うんうん、なるほど!」とか、「そんなわけないだろ!」とか、公報と対話しながら読むと眠くなりません。しかし、 周りに迷惑をかけるので、声に出さず心の中でつぶやきながら読み進めることです。
出願人毎に読むと発明の理解がしやすい
発明の内容を読解するには、出願人毎に読むと理解がしやすくなります。検索結果が公開日の順にリストアップされている場合に、律義に公開日の順に公報を読む必要はありません。
許されるのであれば、リストアップされた公報を公開日順ではなく、出願人別にまとめて読んでいくと理解がしやすいのです。
何故かと言えば、公報が複数あっても公報に書いてある発明の背景や発明の内容が似通っているため、一度背景/発明を理解すれば、2件目以降は発明の把握がしやすく、その結果公報を読む速度が速くなります。
一方、出願人が異なる公報をランダムに読むと、読むたびに出願人が変わるため背景や発明の内容が変わり、都度、頭の思考回路を変えなければならいなため、発明の理解にどうしても時間が掛かってしまいます。その結果、公報を読む速度が上がりません。
また、公報を多数読むと気が付くことですが、同じ出願人の公報は【図】や実施例の記載がほぼ同じです。そのうえで、特許請求の範囲を少し変えているものが多いのが実態です。
発明者毎に読むと更に理解がしやすい
上述した出願人毎に読むに留まらず、更に細かく発明者ごとに読むとさらに理解がしやすくなります。
何故ならば、発明者個人の技術的思想が短期間で大きく変わることはないと考えられるからです。発明者が同じ場合、公報の内容(発明)がほぼ同じであることが経験的に分かっています。
掴みとして【発明の詳細な説明】の【技術分野】を確認する
公報の【技術分野】の記載を見れば、どんな分野に関する発明なのか、直ちに把握できます。例えば「本発明は○○に関する。さらに詳しくは□□□に関する。」などと記載されています。
関連する【技術分野】が頭に入っていれば、公報の内容の理解に大きく役に立ちます。ちなみにUSPの場合は【TECHNICAL FIELD】の記載内容です。
最も発明の内容を端的に表しているのは【発明の名称】です。しかし、『情報処理装置』などと一般化している場合は、発明の把握にあまり参考になりません。
ここまで読んでいただき、どうも有難うございました。
是非、また、当ブログを読んでいただきますよう、よろしくお願いします。