65歳定年退職 任意継続か国民健康保険か 2年間の保険料を計算してみた
65歳の定年退職の日まで、残り数か月となりました。定年退職して無職になると、これまで加入していた健康保険組合に任意継続にするか、国民健康保険に加入する手続きをする必要があります。
それも手続きできる期限が限られていて、任意継続の場合には資格喪失日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出しなければなりません。国民健康保険への切り替えも、14日以内に手続きしなければなりません。
定年退職して自由を満喫してボーっとしていて手続きできる期限を過ぎてしまうと大損しかねません。定年退職の日までに、任意継続を選ぶか、国民健康保険に切り替えるべきか、事前に検討しておくことが重要です。
定年退職後の健康保険の選択肢 実際には任意継続か国民健康保険かの2択
定年退職後の健康保険については3つほど選択肢があって、一番お得なのは①家族の扶養家族になること、次に②現在加入している健康保険組合の任意継続制度の利用、最後に③国民健康保険への切り替えです。
しかし、①の扶養家族になるのは、年金収入を考えると扶養家族の条件は満たさず実質的に選べない方が多いのではないでしょうか。従って実際には②任意継続制度の利用か③国民健康保険への切り替え、の2択になります。
②任意継続は一般的には国民健康保険よりもお得と言われています。この任意継続保険には「扶養」という概念があるので、もし扶養家族がいる場合は確かにお得です。しかし、保険料が現役の時に給料から天引きされていた額の2倍になります。退職後は会社が折半していた分を自分で払わなくてはならないからです。したがって、本当に得かどうかは、家族構成などによって変わりますので計算してみなくては判断ができません。
また、2022年1月の任意継続制度の改正で、2年を経過する前でも脱退することができるようになりました。一度任意継続にした後で、やっぱり国民健康保険の方が良かったということであれば、任意継続を辞めることができるようになりました。一方、最初に国民健康保険に加入した場合は、所定の期日を経過してしまうと後から任意継続に変更することはできません。
③国民健康保険には「扶養」の概念がないので、いずれ自分と妻の2人で加入する必要があります。任意継続と国民健康保険のどちらが得なのか、その判断をするために国民健康保険の保険料を計算しなければなりませんが、国民健康保険の保険料の計算方法は、市町村によって異なります。市町村役場に問い合わせれば、保険料を試算してくれるようですが、今回、自分で計算してみました。
それにしても、会社勤めをしている間は健康保険料の額についてほとんど考えたことがありませんでした。給料から天引きされているから無理もありませんよね。会社が保険料の半分を負担していることも、今回調べていて初めて知ったことでした。
退職して年金生活に入ると、実は健康保険料は軽視できないほど大きな額であって、嫌でも無関心でいられなくなります。
保険料をシミュレーションしてみた結果、やはり任意継続の方が得だった
現行の健康保険の任意継続制度を利用したほうが良いのか、国民健康保険に加入したほうが良いのか、シミュレーションしてみました。
まず、家族構成ですが、現在は妻も働いており私の扶養家族になっていません。私が退職しても妻は1年間働く予定ですので、任意継続制度の「扶養家族」のメリットを得ることはありません。
任意継続の場合の保険料は、加入している健康保険組合のホームページを検索すると、標準報酬月額と保険料の一覧が載っていましたので、すぐに知ることができました。ちなみに任意継続の場合の保険料は、月額 約24,000円でした。結構な額ですよね、今は健康なので恩恵に与っている認識は全くありませんが、そのうちお世話になるのでしょう。仕方がないですね。
この金額は、任意継続期間の2年間変わることはありません。なお、24,000円の計算の基準になる標準報酬月額が再雇用の少ない給与で計算されているのでこの額です。もし60歳定年で退職される場合は標準報酬月額も高額でしょうから、保険料ももっと高くなると思われます。
国民健康保険の保険料は、市のホームページに計算方法が載っていました。保険料は、大きく分けると、前年の所得に一定比率を掛けた「所得割」と世帯の加入する人数に応じて決まる「均等割」があります。また、その内訳が「医療分」「支援分」「介護分」と分かれています。
国民健康保険料を計算してみると、1年目はざっくり月額 約20,000円でした。少しだけ任意継続制度を利用したよりも安いようです。しかし2年目は、なんと月額 約41,000円と2倍以上になりました。
なぜ保険料が2倍になったのでしょうか?おもな原因は2つあります。1つは、妻が退職により国民健康保険に加入する必要があることです。また、もう一つの原因は所得が増えることです。
1年目の保険料は、前年の所得である給与所得だけで計算されます。決して高給ではない再雇用の給与が保険料計算の基準になるので、保険料は任意継続よりも安く済みました。しかし、2年目の保険料は、受給が始まる厚生年金と企業年金、それに妻の前年の給与所得の合計所得(世帯所得)が計算の基準になります。また、いくらの稼ぎになるか全く不明ですが、退職後に始める個人事業(請負仕事)の所得も加わります。
退職金を企業年金として65歳からもらう契約にしている方は多いと思います。そうすると60歳から65歳以前の所得よりも、65歳以降の所得の方が多くなるという逆転現象もあり得ます。任意継続にするか、国民健康保険にするか、保険料を試算する場合は、必ず2年間で計算して決断することをお勧めします。
なお、厚生年金と企業年金(合わせて公的年金等というそうです)は、「公的年金等控除」を受けることができます。保険料の計算では、控除額の把握が必須です。公的年金等控除額については、企業年金連合会のサイトがありますので、参照してみては如何でしょうか。公的年金等控除の表はこちらです。
近々定年退職を予定されている方は、任意継続制度を利用したほうが良いか、国民健康保険を利用したほうが得か、家族とも相談の上、保険料のシミュレーションをしてみることをお勧めします。その際は、2年間で計算しましょう。条件によっては、1年目は任意継続、2年目は国民健康保険というケースもあると思いますが。
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